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時空警察調査団12(修正版)

<前回までのあらすじ>


時空警察調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
巨大歓楽街の実質的支配者を助けたことからキャバレーやホテルで贅沢三昧可能な状況になりました。
貧乏性なのに。
しかしトーマスはキャバレーゲームで目をつけていたキャラのモデルであるアオイさんと接触できて上機嫌です。




 ナップルはホール内を見渡し、昨夜は緊張して周りが見えてなかったのだと知った。

 コバのキャバレーは半端ない。縦横100m近いフロアに天井までの高さはおよそ15メートルといった具合。

 巨大なシャンデリアが点在している正面には舞台。手前にはオーケストラピット。左右(上下)にもやや小ぶりの舞台が設置されている。近すぎず離れすぎずのテーブル配置の間をボウイたちが泳ぐようにすりぬけてゆく。その多くの美女たちが客と戯れ、お互いに会話を楽しんでいる。明かりはほんの少しだけ落として黄みを帯びている。夕暮れとはまた違う光が客の心をゆるめているのだろう。決して常軌を逸することはなく、穏やかで品の良い紳士淑女の集まりである。そうでなければコバも幼いナップルを招待することはなかったろう。


 ……享楽の場所(大人用)は別のフロアに用意されているのだろうけれど。


 フロア内のテーブルはほぼ埋まっている。それに対応している美女達は一体何人にのぼるのか。そのトップにいるアオイの存在とは全くもって。
 なにせ彼女ってば、ゲームキャラのモデルになっちゃうくらいだしね!


「ようこそ、トーマス様ナップル様」
 フロアの案内人が微笑みで迎える。
「ねえねえ」
 ナップルがトーマスの上着のすそをひっぱった。彼は普通にスーツ姿だ。正装をほんの少し崩した、カチカチではないスタイルだ(昼間のうちに買っておいたもの)。こう見えて仕立てのよいものを気楽に着こなすことができる粋な男なのだ。
「やっぱあたし場違いだと思う。昨日も思ったけど。子供いないじゃん」
「ばかだなあ、ナップルちゃんは子供じゃないよ。女の子だよ」
「また訳のわからないことを」

 思わず足が動きそうになった。ハイキックをくらわすところだった。
 パンツ見えちゃう。
 こんなところでいかんいかん。自重自重。

「ところでナップルちゃん。君、すっごい目立ってるけど、それは小さな子だからじゃないよ。あんまりかわいらしいからだよ?」

 めだ、目立ってる? あたしが? 

 ナップルは言われてあたりを見る。たしかに視線が集まっている。すごい集まっている。
 言われなければ気づかずにすんだのに!!!

 とたんに体がガチガチになってうまく動かなくなってしまう。
「さあ、行こう。アオイさんが待っててくれてるよ。きっとね」
 トーマスの大きな手がナップルの背中を支える。悔しいけどほっとする。
 こいつがいれば大丈夫、そんな気がして。
 ……それが本当にすっごい悔しいけれど。


 トーマスたちに用意されていたのは中央上手寄り席だった。ソファのかけると、すぐにアオイがやってきた。
「ようこそ。トーマスさん、ナップルちゃん。お待ちしていました」
 と、アオイの笑顔がしばし固まる。視線がナップルから動かない。
 ナップルは自分がなにかしでかしたのだろうかと不安になり、キョトキョト視線を泳がせてしまった。普段の勝気っぷりはどこへやら。
 その様子をトーマスがにやにやとみつめている。
「あ、あらごめんなさい。あんまり可愛らしかったので見とれてしまって」
 ニヤーッとトーマスの口角が限界まで上がる。
「ほーらね」
「え? え?」
「すみませんアオイさん。この子は自分を客観的に見ることができなくて。我娘ながら、結構かわいいと思うんですよ俺も。いやぁ親バカですけどね!」
 ナップルはテーブルの下で力いっぱいトーマスの足を踏んづけてやった。新品の靴のかかとは効くはずだ。トーマスの顔がひきつり笑いに変わった。
「そんな、本当にびっくりしちゃった。昼間のラフな格好もかわいらしかったけれど、ワンピース姿とってもステキ! そのドレスはナップルちゃんのお見立て?」
 アオイに褒められるとなんだがくすぐったくて仕方がない。
「いや、それ俺」
「まあ。よく似合っているわ。お嬢様のことをよーくわかっていらっしゃるお父様ね」
 ああ、またなにやら誤解が……。親子設定で行動しているので仕方のないことであるが、なんかヤダ。ナップル、微妙な心地にゆらいだ。
「ほんと、うらやましい」


 そうこうしているうちに食事が運ばれてきた。事前に好みを尋ねられていたが


「苦手とか、きらいなものはありません。何でもいただきます」と答えた。貧すぎない。なんでもおいしくいただきます。乏性に好き嫌いはないのだ。なんだって有難くいただく。ゲテモノには多少抵抗はあるけれど、それも文化の差に

 が、彼らの信条。


 テーブルにならべられる皿、皿、皿。いろとりどりの野菜サラダ(多分)に動物性たんぱく質に火を通したもの。フルーツ、飲み物。なんだかよくわからない食べ物にもかかわらず、見目が鮮やかで食欲をそそる。
 アオイがサラダとステーキに手早くソースをかける。香ばしさに鼻腔を刺激され、仮の親子は皿に飛び掛らんばかりだ。
「おなかすいたでしょう? どうぞ召し上がって」
 いきなりがっつくのは場にふさわしくないと理性が2人を抑えていたのだが、箍というのは外れるためにあるようだ。
「いただきます!」
 トーマスとナップル2人して両手を合わせて頭を下げる。あまりにもそっくりな姿にアオイが吹きだした。
 くすくすと笑うアオイにようやく気づいたトーマスがきょとんとする。
「親子ってこういうものなのね。さっきの仕草はトーマスさんのご出身での?」
「何がです?」
「これ」
 アオイは両手を合わせて頭を下げる先ほどの2人の仕草をまねた。
「ああ、はい。俺が昔少し住んでた星での風習ですけど、抜けなくって」
 アオイはそうですかと頷いた。
「すてきだと思います」
「そう言っていただけるとうれしいです……ああ、すっごいおいしいですね、これ」
 いい具合に半生の肉塊にナイフを刺しながら、トーマス。
 なんだと!?とナップルが肉に視線を刺す。彼女はポテトのような炭水化物にかぶりついていたのだ。
「これ? これなの? これおいしいの?」
「そうこれ。取ってあげるからナップルちゃん慌てないで」
 ポテトを口に入れるか入れるまいか逡巡しつつ、しかしフォークから今更ポテトをとって肉に突き刺すのも行儀が悪いし、かといって放っておくとトーマスに全部食われるかもしれない、と挙動不審になっていたたナップルを父親役であるトーマスがなだめる。

「わたしがしますからトーマスさんはゆっくり食事なさって」
「いやこれくらいのこと」

 トーマスはさらに置かれた大き目のフォークとスプーンで器用に肉を切ってナップルの皿にのせた。ぺこりとナップルが頭を下げる。どうみても仲良し親子だ。
 アオイはこの2人のやりとりを眺めていた。彼女の記憶にはほとんど残されていない親子の会話を聞いているだけれ心が癒される気がした。
 自分が親になればいつかこんな状況を手にできるのだろうか。
 しかしそれは儚い夢のようで、どうしやっても現実味を感じることができなかった。未来を頭に描くことすらできなかった。


20100123.gif



いいね。贅沢な場での贅沢な食事って。

でもこれも夢幻。
歪んでしまった時空間でのことだから。

ああ、違う。


この世の全てが夢幻なのかもしれないね。




「時空警察調査団」 第13回につづく!


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sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

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