スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Tag:スポンサー広告 

時空警察調査団10(修正版)

<前回までのあらすじ>


時空警察調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
時空の歪みの元を調査するため、惑星センティオンに滞在中。
そろそろ本格的に仕事を開始する様子ですよ。




 豪華すぎる朝食を前に男はずっと上機嫌。



 ナップルは寝起きということもあり、今ひとつ気分がのらない。いや、食事はおいしいのだ。実においしい。トーマスが適当に給仕してくれているのだが、いやそれはさすがに量が多いだろう自分ヲ何ダト思ッテイルノダと突っ込みをいれるのもかったるい。

「あれ? ナップルちゃんもっと食べなよ。どうしたの?」
 能天気にトーマスが言う。
「食べないんだったら俺、もらっちゃうよ? いい? いいかな?」
 ツツーっと皿をトーマス側へ寄せる。好きにしたまえよまったくもう。それよりも。
「今日はどうすんの? ぼけーっと部屋で過ごすわけにもいかないでしょう」
 トーマスは目の前の皿を怒涛のようにすっからかんにしつつ答えた。
「……街中をぶらついてみようか」
「それだけ?」
「ぶらついてみないと次の手がうかばないんだもんねー。ああ、ざっくりデータはまとめてあるから目を通しておいてね」
 ポケットからポータブルの「タンク」を取りだす。その名の通り情報をひたすら蓄積するためのものだ。
 受け取ったナップルは早速確認作業にとりかかろうとしたのだが。
「ナップルちゃん」
「はい?」
「お食事しながらそれはお行儀が悪いです!」
 何言ってやがんだこの男。目を通せっつったのはそっちだろうが。
「作業をするならちゃんとごちそうさましてからです!」
 あー面倒くさい。本当に面倒くさい男だこいつ。
 ナップルは目を細めてトーマスを睨んだ。
 仕方ない、両手を合わせてごちそうさまと言う。どこの習慣だよこれ。なんでもトーマスが通常空間にいたころの、ある地方の風習とかどっかで聞いたような気がするが。


 食事前と終わりで「けじめ」をつけるために儀式を行う種族は確かに多いし、手を合わせるだけで済むなら楽なものではある。前後1時間は祈りを捧げる種族もいるので、それに比すればかんたんなものだ。


 ふっとため息ひとつ、ナップルは手のひらサイズの「タンク」上に配置されたボタンらしきものを規則正しくいくつか叩く。と同時にホログラム映像が何枚か映写される。成人男性の手のひらよりも一回り大きい画面が空中に浮かぶ。いくつかは音声のみ。いくつかは動画。残りは文章とフォトだ。


 さらにパッドを叩くと右側に同じ数だけ映像が出る。比較対象のためだ。現在の状況と来るべき未来とあるべき未来。時間のゆらぎが自己修復できないほどの歪みを精査する。
 これらをざっくりとはいえ一晩で分類・整理してしまうのは悔しいがさすがトーマスと認めざるを得ない。へらへらしているくせにどうしようもなく優秀なのだ。



「やっぱさー、実地で調査ってのも必要だと思うんだよね。街を歩くっていう」
「そりゃそうだけどさ」
 いつのまにか食事を終えたトーマスが、ホットジュースをナップルに手渡した。
「あんたの場合、ただ遊びたいだけじゃないかという気がしてならないのよね」
「うーん、あたってるだけに耳が痛い」
 2人で今一度データを確認する。
「あの場所が大きな『きっかけ』なのは間違いないと思うけど……」
 ナップルが映像をきりかえた。昨夜招待された巨大なキャバレーだ。
「トーマスはどう考えてるの? 何か思い当たるとこでもある?」
「そうだねえ。でもまだ確信がもてない」
「何が」
「いろいろ」
「何故はぐらかす」
「確信もてないから」
 そしてトーマスはナップルの髪をくしゃっとなでた。
「出かけるよ。用意して」
 ナップルはトーマスを一睨みして席を立った。なんだかまた子ども扱いされたような気がする、今。





 トーマスたちは例のキャバレー周辺を起点とし、同心円上に調査ラインを設定した。調子に乗って足を伸ばし、郊外まで調査と称してうろつくことにした。交通機関に乗って窓の外をながめ、おなかがすいたら適当に売店で食べ物を購入し、噂話に耳を傾け。


 傍からみでば陽気な親子か兄妹といったところだが、本人たちはひどく神経と感覚をとぎすませている。
時のゆがみは形で出るが、それが起こった決定的なきっかけを見つけるには「感じる」しかないのだ。勘、だたそれだけ。
 本能で感じる不自然さ。まずはそこを追求していくしか方法がない。
 ナップルはだんだんと何がなにやらわからなくなってきた。「ナニカ」は目の前にあるはずなのに掴めない。コレなのかアレなのか。とても惜しいところにいるのはわかっている。しかし「惜しい」は決して正解ではない。残念なことに。


 ため息をつくナップルに気づき、トーマスは一旦ホテルへ帰ることを提案した。頭の中がわやくちゃだと出来ることもできなくなる。
 時空の歪み修復は緊急を要するが、間違った判断は面倒の素にしかならない。慌てても失敗するだけだしー、まあゆっくりやろうや、がトーマスの持論である。



 ホテルに帰るとなぜか客がいた。
 エントランス脇のロビーでとある女が2人の帰りを待っていたのだ。
「アオイさん…」
 それは優美な肢体を紺のスーツにつつみ、柔らかく微笑む長い髪の美女。
 昨夜出会ったキャバレー・コバ一番の人気ホステス、アオイだ。
 ハイヒールの音は毛足の長いカーペットに吸い込まれ、雲の上を移動しているかのようだ。
 

20100109.jpg



「こんにちは、トーマスさんにナップルちゃん」
 スーツ姿はキャバレーで彼女を片鱗も窺わせない。
 美しい女性というのは何を身につけても美しい。内面の輝きまで表にでているのだろう。
 シャツに短パン、肩からはポシェットという格好のナップルは気恥ずかしくてならない。彼女とはあまりにも差がありすぎる。言葉が出ない。
「うわー、びっくりした。どうなさったんです?」
 トーマスは全く動揺していない。むしろ鼓躍りしそうな勢いだ。場慣れしているに違いない。
「昨日はどうも。どうしてもお2人に会いたくなってしまって。突然押しかけてしまい申し訳ありません」
 そんなことはないです、気にしないで、とトーマスは嬉しそうに話す。

 挙句によろしければ部屋でお話しませんか、などぬかしている。あきれるナップル。

 自分達は調査にきているはずなのに何だこの展開。

 


明らかにどこかでみたようなアレなビジュアルの美女と

能天気なトーマスと

子供じみた自分に少々凹み気味な少女と。




調査団は今日も大活躍。……するはずなんだけどなあ。



「時空警察調査団」 第11回につづく!


気が向いたらクリックしてください。

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
テーマ : オリジナル小説(SF)
ジャンル : 小説・文学

Tag:ノベル  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

sugar

Author:sugar
sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
FC2カウンター
QRコード
QRコード
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。