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時空警察調査団7(修正版)

<前回までのあらすじ>


時空警察調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
惑星「センティオン」での有名キャバレーに招待されることに。
おそらく星一番のキャバレー。あまりの豪奢さにびっくりなんだぜ。




第7回


あらゆる時と空間を司る、絶対者。
時空警察。


人の生死をも簡単に操ることのできる絶対者。


自分自身の運命は変えることはできずとも。


背負ってきたものはを決して下ろすことはかなわないのだ。

それがどんなに重くとも。時空警察の一員になるということは、そういうこと。






例えるならば桃源郷。竜宮城。神々の住まう光に満ちた天空の宮殿。

 静かに流れるBGMには一定の振動が含まれ、人知れず心穏やかにするエッセンスとなる。巧妙に仕掛けられたゆるやかな罠。現し世を忘れるため。
 黄金の柱にアラバスターの床、壁は白金だが反射率を低下させているため不快感は無い。点在するテーブルとソファも品良く、腰掛けるのを躊躇すると同時に使用することによって非常な満足感を与えることができる。凝った設計である。


 行き交うお姉さま方とボウイは、皆選りすぐりの外見を持ち、立ち居振る舞いすら絶品で目の保養だ。あまり肌の露出は無い。正面のステージでは華やかな衣装を身に纏った美女達が舞う。舞台前にはオーケストラスポットが用意され、BGMとぶつからない生演奏を巧みな技で披露していた。

「こちらへどうぞ」
 コバが奥に用意された席をすすめた。旅行者そのもののラフな格好であるトーマスとナップルは、さすがに場違いな自分達の姿にオロオロしつつ、今更どうにもできないわけで、結局素直に従うことにした。

「『個室』はあるのですが、お嬢様にも楽しんでいただくにはこちらがよろしいかと思いまして」
 トーマス親子(仮)は緊張の面持ちで並んで座っている。実際あまりこういう歓待をうけることはあまりない。こちらの世界へ派遣されても、職業柄ひっそり活動していることが多いのだ。一般人としてまわりといかに溶け込むかがスキルのみせどころであり、力を誇示する必要く無い。前述のように派手な生活を好むものはそもそも少ないわけで。地味に生きているのだ。

 二人の向かいに座ったコバは背筋をピンと伸ばして同じ表情であたりをキョロキョロしている親子(仮)をほほえましく見つめていた。良く似た親子だな、と(ナップルが聞いたら怒り狂うだろうが)。
「お飲み物はいかがなさいますか」
「ひっ、え、あ、あああの」
 急に声をかけられて動揺するトーマス。にこりと笑ってコバは軽く手をあげた。すかさずボウイが反応する。
「こちらの方にスコールを。お嬢様にはレッティをお持ちするように」
 ボウイは頷いて去っていった。
「ではまずはわたしのおすすめをご用意いたしましょう。その間にお好みのもの候補を考えていただければ。お飲み物でも食べ物でもなんでもお好きなものをおっしゃってください。なんでもお持ちいたします。なんでも」
「あ、あああああありがとうございます。ほら、ナップルちゃんもお礼申し上げて!」
「あの、ありがとうございますっ」
 ぺこりとナップルが頭を下げる。
 すっかり忘れていたがナップルは普通に美少女である。少々クソ生意気なガキ風情を漂わせているが、素直に頭を下げる様子は実にかわいらしい。低い位置で二つにしばった髪も少女らしさが漂っていい感じだ。


 実にいい感じだ。



「どうぞお楽になさってください」
 オーケストラの音楽が変わった。穏やかだった曲からほんの少しアップテンポに。
 舞台の美女達は姿を消し、代わってスクリーンに映像が流れ始めた。この星に生息する動物達のゆかいな生態、といった趣向である。お姉さんたちのお着替えタイムなのかもしれない。



「お待たせいたしました」
 二人は視線をスクリーンから戻した。そこには銀のトレイに飲み物とフルーツを二つのせた美女がやってきた。青く長い髪のうら若き美女だ。



「あ、あ、あー!!!」


 トーマスが満面の笑みになる。そう、彼女は例の携帯ゲーム『キャバレー』で彼が一押しだった女性だ。
「お飲み物をお持ちいたしました。どうぞ」
「あの、ありがとうございます」
「ご指名いただき有難うございました」
 横にいる娘(仮)への気遣いか、彼女はトーマスの横ではなく向かいに腰掛けた。
「アオイでございます」
「あ、どうも、トーマス、言います」
 しどろもどろになってトーマスが応える。
「うちで一番人気の娘ですよ。お話が合えばいいのですが」
 コバが楽しそうにそういって席をたった。
「何かありましたら遠慮なくお呼びください」

 そしてテーブルは3人になった。



 アオイは体つきがスラリとのびた本当に美しい女性だった。ナップルも思わずみとれるほどで言葉を失っていた。
「オーナーを救っていただいたとのこと、有難うございます。危なかったとか」
「ああ、そうですそうでした。とりあえずは治しておきましたがはやく専門の医者にかかるようにしてもらわないと」
 ナップルは両手を膝においたまま答えた。

「そうですね、申しておきます……オーナーはどうも自分の体に無頓着というか、どうでもいいように考えているようでして私どもも困っておりますの」
「だめです、それはだめ……」
 思わずナップルは意気込んで言い…途中で止まった。


 何故自分はこんなにコバの体を慮るのだ? 死なせてはいけない、確かにそう思った。彼の生死がそれほど重要なのか? ファクターの一部だとは感じたが、それにしても。
 『この場』にいるからそう感じるのか。
 そうだ違和感。
 ここには違和感がある。他の誰もが感じ得ない独特の感覚。
 調査団の一員であるからこそ感じることのできるもの。
 なんだろう。今回のミッション、その核心に近づいているのがわかる。
 しかしそれはまだ『本物』ではない。


 本部に報告するのはまだ時期尚早。


「本当に……お二人に救っていただきました命ですし、大切にしていただきたいのですが。わたくしにとって父のような存在ですから」
 トーマスはおいしそうにすすめられた飲み物を味わいながら、ニッコニッコとアオイを見つめていた。ああもう本当に能天気なヤツだ。
「お父様ですか。オーナーともなれば全ての従業員の『お父さん』みたいなものですよね」
 トーマスが言う。
「お嬢様もどうぞ召し上がって。ケーキはお好き? ンミャの乳でできたチーズケーキがありますの。いかがかしら」
 甘いもの、チーズケーキはナップルの好物だ。反射的にこくこく頷く。


「……そうですわね。もちろん従業員の父ですわ。それ以上にわたしには」



 アオイは一瞬いいよどんだ。ちらりとトーマスを見て、意を決したように話し始めた。

「小さい頃に両親を失ってから、本当の娘のようにかわいがっていただきましたから」
「え」
 あ、なんかよくある話っぽい。と、ナップルは思った。作り話かな?
「あの、内緒にしていてくださいね」
 ウィンクされた。少女であるナップルでさえノックダウンのきらりんウィンクだ。

「実力主義の世界ですもの。わたしの今ある立場が個人的なつながりによる贔屓だと思われたらいやだわ。そんなことないのに。これでも結構がんばったんですよ。オーナーのお役に立ちたくって」

 あーもう作り話でもなんでもいい。この声、この話し方、全てがなんというかこう……、胸にふわふわきて心地いい。ヤラレタって感じ。
 ナップルは話しの内容でなく、音声に酔いそうだった。

「お嬢様はたいそうなお医者様でいらっしゃるとか。やはり相当努力されたのでしょう? お父様のために? 鼻が高くていらっしゃいましょうに」
 努力家ぁ、あんまりしてないなあ。とナップルは思う。教育は受けたが、時空警察のスパンは相当だから多分誰でもそこそこにはなれるモノなのだ。
 それにそもそも! 親設定トーマスのためなんて全く無い話で!
「あらケーキがまいりましたよ。どうぞ」
「いただきます」

 トーマスはそんな二人を温かい目で二人をみつめていた。




桃源郷でのひとときはゆるやかに過ぎる

ナップルの感じた違和感も流れ行き、ひと時の安らぎを。

時空のゆらぎが歪みとなり、全時空に影響を与えかねない事態になる前に
彼らはきっちりと動くだろう。

その前に


ほんの少し

休息のときを





「時空警察調査団」 第8回につづくぅ

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sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

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