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時空警察調査団5(修正版)

<前回までのあらすじ>


時空警察内、調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
お仕事のために通常空間の某所に出現中。
シャトルでの急病人を救ったお礼にと、豪華キャバレーのオーナーの招待を受けることに。
トーマスは早速女の子をご指名。ナップルあきれる。



第5回


あらゆる時と空間を司る、絶対者。
時空警察。

永遠の時の中で彼らは今日も世界の安定のために駆け続ける。

時に役得。ラッキーなことは全部受け止め
残念なことは避けたい。

これは時空警察官でも同じこと。




 トーマスとナップルが降り立った宇宙港には金色のVTOLが待機していた。陽の光に照らされて正視するのもいやになる。眩しすぎ。
 このVTOLはもちろんコバの個人所有物で、一行を出迎えにやってきたのだ。
 シャトルからやや小ぶりの車輪(!)のついた乗り物で移動の後、コバら3名は金色ピカピカに乗り込んだ。


「おじゃましますよー」
 トーマスが陽気に言いながらタラップを上る。うんざり顔のナップルがそれに続き……




 言葉を失う。
 金色の壁、金色のテーブル、金の椅子。たまに見える他の色はプラチナかルミチウムだろうか。贅を極めたというより、滑稽というよりも、何か突き抜けているといった方が正しいかもしれない。ここまでいったらいっそ爽快。

 テーブルセットの側面にはなにやら彫刻が施されているし(埃がたまったたら掃除が大変そう)、盤面は象嵌、ソファの足にもわけのわからん装飾がついている。何これ生き物? こんなの絶対不必要だ。生活に絶対不必要だ。
 コレクションボードの中にはクリスタルのビンに入ったこれまた金色の飲み物。
「……秀吉の茶室も真っ青だな」
「誰それ」
「僻地の星の派手好きなおっさん」
「つまりあんたみたいな人ってことね、トーマス」
 なんとなく居心地が悪くて壁にくっついている二人であった。



 時空警察内部にはこれといった経済活動は無く、衣食住に不自由することも無い。
 で、基本的に皆質素な生活をしている。贅沢を禁じられるているわけではない。コバ以上に贅を尽くしまくっても構わないし、十分可能である。それができるのが時空警察スタッフだ。

 しかしあまりに長い時間をすごしていると行き着くところは何故か皆ザッツ・シンプル。極めて質素で簡略な生活に落ち着くようだ。一部、時空警察学校校長のように独特の趣味を持っている者は別として。


「どうぞ、こちらでおくつろぎを」
 コバがソファをすすめる。
 ナップルは落ち着かない様子でソファに浅く浅く腰掛ける。
 苦笑いしながら、トーマスがナップルの頭をくしゃっとしてから横に座った。



 コバはにっこり笑って壁に備え付けられている金の棚をあけてカップを二つとりだした。
 そして引き出しから小さな缶を取り出し、中の葉を数枚ポットに入れお湯を注ぐ。
「……?」
 脇に設置した小さめの金扉からやけに素朴な木製のトレイをひっぱりだし、カップとポットを載せてコバは二人の前にやってきた。
 カップはいわゆるマグカップ。厚手で無骨なものだた。ポットからは甘酸っぱくフルーティな香りが漂う。
 コバが高い位置からカップに注ぐとほんのりと赤い液体が流れ落ちた。



「どうぞ」
 トーマスとナップルはとまどいながらも、折角なのでいただくことにした。

 温かいこの飲み物はフルーツティーだろうか。香りは甘いが、味は深く、かといってしつこくもない。なつかしくほっとするドリンクだ。
「驚かれたでしょう、この装飾。商売柄、スタッフが気を利かせて出来るだけきらびやかにとね。私自身、こんな華美なデザインに正直少々食傷しておるのですが」
 コバは二人の前に腰を落とした。

「キャバレーには派手さが必要です。夢の世界ですからね。現実を忘れていただくのが仕事です。
しかし本来わたしは地味な男です。故にどこかギャップを感じているのも事実でして」
 そういって周りを見渡す。遠い目をしている。
「そんなことを言っていてはいけないのですけれどね」
 困ったように微笑みながら続ける。
「しかし大切なスタッフの気遣いを蹴るわけにはまいりませんので、隠れてこっそりと……こういったものを置いているわけです」
 と、木製のシンプル極まりないトレイをトンとたたいた。このマグカップも実用性だけを目的に作られているようだ。コバは本来こういったものを好む人間なのだろう。金の茶室ではなく。



 コバはこの星で最も成功した実業家だ。この星の首都「センティオン」を一大アミューズメント都市に変貌させた張本人。最大かつ最高の施設といわれる『キャバレー』を運営していることで知られているが、そのほか遊園地からレストラン、カジノにミュージックホール。ジャンルにこだわることはない。





 そう、最も成功した「実業家」だ。





 調査団の二人は確実にターゲットを把握した。


 それは本能に基づく感覚。ゆるぎない確信。




 ちらりとナップルはトーマスの表情を伺うが、彼はそ知らぬ顔で飲み物のおかわりを要求していた。ちっ、使えない奴め。
 いつのまにVTOLが飛び立ったのか、窓外の景色がかわっていた。
「これからまっすぐに『キャバレー』に向かいます。お二人のお荷物は私どもが責任をもってお預かりいたします。ホテルをご用意いたしますので、そちらにお持ちするということでよろしいですか」
「あ、え、はい」
「ああ! もしかして他にいくべきところがおありでしたか! 宿泊施設も押さえておいでですよね。高名なドクター親子でらっしゃるのですから。
 全く気の利かないことで申し訳ない。お送りいたしますので目的地をお知らせいただけませんか」
 目的地ってあんただよ……とも言えないため、トーマスは言い繕う。
「いやいや、娘の慰安ですよ。結構仕事がハードでしてね。幼い子にムリをさせてしまっていました。休暇がてらのんびりさせてやろうと思っておりましたので、これといった予定も立てないままこの星にやってきたのです」
 偽善者の笑みを浮かべる。
「あなたでしたら娘が楽しめるような施設をご存知かと思いますのでお任せしたく思います」
 いけしゃあしゃあとよく言うよな、とナップルは感心する。息をするようにウソを吐くヤツというのはコイツのことに違いない。
「おまかせいただけますか!! それは光栄です。『キャバレー』はお父様にもお嬢様にもお気に召すに違いございません。全力でお迎えいたします。……青い髪の子でしたね。リザーブいたしておりますのでご期待ください。
 それを聞くとトーマスは立ち上がり、コバの手を握って大きく振り回した。喜びを表しているのだろう。


 ナップルはものすっごく冷たい目で「父親」を見ていた。


「なんっつーか、サイアクの親だわね」



 VTOLは星の夜側に向かう。窓の風景は青から紫、そして黒とまたたくまに変化した。

 しかし一方地上は星の海。ネオンによる光の洪水だ。





 時空警察の二人と、太った経営者。



 彼らの運命はすでに絡まった。
 糸を解くのは彼ら自身の役目。


 全宇宙の安寧のために、VTOLは『キャバレー』へと向かう。



「時空警察調査団」 第6回につづくにゃ

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sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

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