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時空警察調査団4(修正版)

<前回のあらすじ>


時空警察内、調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
お仕事のために通常空間の某所に出現中。
シャトルに乗ってたら急病人発生。
トーマスは少女ナップルを医者だ言いはり、二人で患者を治療しています。


第4回


あらゆる時と空間を司る、絶対者。
時空警察。

永遠の時の中で彼らは今日も世界の安定のために駆け続ける。
彼らにとって大切なもののために、いつまでも。

偶然にまぎれこむのは必然で。
偶然っていうのは狙って入るものなんだよ。




カタカタと使った道具をしまっている間に患者が目を覚ました。
「あ……わたしは」
「おはよう、ミスター不養生」

 ナップルがニヤリと笑った。横でカトウと乗務員はまだ真っ青な顔をしている。オロオロを体現すればきっとこの二人のこととナップルは思った。
「自覚症状は十分におありだったこととは思いますが、あなた肝臓と血管がボロボロでした。正直死んでいたんですけど、なんとかしましたよ」
 救急キットのふたを両手でパタンと閉める。サラリとおそろしいことを言うものである。

「医者として申します。生活習慣を改めなさい。蘇生に2度目はないと思ってください」
 患者だった男はあたりをキョロキョロ見回す。年端のいかない少女と、横で穏やかに微笑んでいる青年。あとの人物は確か乗務員だったような気がする……。

「もしかして君が?」
「わたしの娘です、ミスター。医師としてスペッシャルです。ご気分はいかが?」
 トーマスがしゃしゃりでてきた。すっごくすっごく得意げに。
 


「とても……なんというかこう……。いままでになく体がかるく青空のような気分で」
「そうでしょう、そうでしょう。彼女は最高でしょう?」
 そしてウィンクをした。
「あなたが、わたしを?」
「他に医者を名乗り出るものがいませんでしたから」
 と、愛想なしにナップルは用事がすんだとばかりに部屋を出ようとする。元患者はあわてて引き止めにかかった。

「お待ち、お待ちください!」
「ほっといても経過は順調なはずですから、あたしはこれで。星についたらとりあえず主治医と今後を相談なさい」
「いや、その、お嬢さんお礼を! 是非お礼をさせてください」
「いりません」
「いやいやいや」
 最後の台詞はトーマスのものである。
「患者さんか是非にとおっしゃってくださっているんだ、娘よ。話くらいはきいて差し上げてもよいのではないかね?」
 やっぱりコイツ最低! ナップルはトーマスを睨め付けた。


「このシャトルの終着駅にわたしの店があるのです。是非ご招待したい。大した店ではありませんが精一杯おもてなしをしたく存じます」
「店……?」
 構わず出て行こうとするナップルの腕をつかんでひきとめるトーマス。
「コバ・ヤシマルという店なのですが、きっと」
「コバ・ヤシマル!!?」
 トーマスが叫んだ。
「お二方にもお楽しみいただけるのではないかと」
「楽しむ! お楽しみいただけますとも! ええ、ええ、ええ!!」
 そしてナップルに耳打ちをする。
「あのキャバレーゲームの元ネタの店だよ、ナップルちゃん!! ちょっとこんな偶然そうそうないよ! なーんてラッキーなんだろうボクたち!」

 シャトル出発前からトーマスが夢中になっていたキャバレーゲームだ。適当に女の子を選んで口説き落とす、シミュレーションゲーム。目の前の太ったおっさん、つまりはモデルとなったキャバレーの総元締めだというのだ。
「…サイアク……」
 ナップルは天を仰いだ。



 こんな小さなシャトルでもコンパートメントともなると室内はかなり豪華な設えになっている。ふかふかソファに象嵌のテーブル。ベッドにバーセット。バスルームも完備。そんな長時間の移動でもあるまいし、全く無駄な調度品だ、例のふかふかソファに座りつつナップルは思う。

 お調子者のトーマスは上機嫌で元患者であるミスターコバと話に華を咲かせている。
「いやあご招待は実にありがたいのですけれどね、キャバレーは娘にはまだ早いのではないかと思うのですよ。なんでしたら彼女はどこかに預けて、そうすれば僕は羽をひろげて……」
「お嬢様にも是非いらしていただきたい。真の芸術というものは老若男女を問わずひきつけるものでございます。私どもの店も芸術という面ではタムザ星系で一番を誇っておるつもりです」

 えー、という顔をするトーマス。ナップル抜きでゆっくりキャバレーで女の子を堪能するつもりであったのだろう。羽目をはずして。
 しょんぼり顔のトーマスを横目に「そんな甘いことあるかーい」と、どや顔のナップル。


「あ、実は僕あなたの店のゲームをしていた最中だったんです」
 気を取り直して今度はトーマスの方からコバにアプローチを始めた。どうせ接待を受けるならめいいっぱいとでも思ったに違いない。図々しい。
「おお、左様でございましたか!」
「これです、これ。『キャバレー』 タイトルまんまなもんでいかがなもんかと思ったんですけど実に楽しい!!今ここまで進んでるんですけどー」
 胸ポケットから小型ゲーム機を取り出す。

「それはそれは光栄に存じます。ほんの気まぐれで出してみたのですが、おかげさまで大人気ソフトになりまして……トーマス様にお楽しみいただき、なおかつこんな形でお会いすることになるとは。運命とはまこと不可思議でございますな」
 コバが嬉しそうに笑う。
「まった奇遇で」
 そして二人で満足げに頷いていた。


 あれー? ナップルは首をかしげた。
 そういえばなんでこいつ、こんなゲームなんてしてたんだ?
 そもそもこんなちまちましたゲームは好みじゃなかったんじゃなかったっけ。無類の女好きだからってスルーしていたけれど。


「もしお好みの女の子がいましたらリザーブしておきますよ」
「ええええ! いいんですかぁ??」
 トーマス、満面の笑み。

「この! この青い髪の女の子がいいです僕!!」
 無類の女好きに2次元も3次元もなかったよ……。ナップルはうなだれた。



 シャトルはゆっくりと終着駅に向かう。


 キャバレーの元締めと、親子設定のデコボココンビと



 宇宙を揺るがす運命を背負って、ゆるやかに。
 


「時空警察調査団」 第5回につづくYO!

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sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

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