スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Tag:スポンサー広告 

時空警察調査団3(修正版)

<前回のあらすじ>


時空警察内、調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
お仕事のために通常空間の某所に出現中。
シャトルに乗ってたら急病人発生。
トーマスは少女のナップルを「これは娘だ。ステキな医者だ」だと大嘘をついて乗務員の気を引いた。ナップルびっくり。



第3回


あらゆる時と空間を司る、絶対者。
時空警察。

永遠の時の中で彼らは今日も世界の安定のために駆け続ける。
彼らにとって大切なもののために、いつまでも。

時にはハッタリ込みで。



 乗務員にコンパートメントにまで案内されている間、ナップルは周囲にあらゆる神経を集中させていた。
 彼女としてはいかにトーマスを陥れるかということに集中したかったのだが、それはそれ。仕事優先でいかねばならない。ほんの少しの異変も感じ取れるように。
 当のトーマスはキョロキョロしつつ、何かぶつぶつ呟いている。


 とある豪奢な扉の前の通路の前まで案内され、
「こちらでございます。少々お待ちを」
 そういって乗務員はどこかへ消えた。
 


 1分1秒を争う事態ではないのかな? まあいいけど。いやいやそんなによくないけど。

トーマスは扉をコンコン叩いた。
「……木?」
 シャトルにわざわざ木を使うだろうか。もちろんアルミニウム合板の上に修飾として貼られているだけだろうが、それにしても手の込んだことだ。


「ところで『トーマス』 あんたいつの間にあたしの父親になったの」
 時間が空いたところで、こーれーは追求しなくてはいけない。ナップル的にはこんな男の娘になど死んでもなりたくはない。
 トーマスはきょとんとナップルをみた。
「何言ってるんですかぁ今更。IDカード確認した?」
「?」
 ナップルがポシェットから自分に与えられた(本部支給の)IDカードを取り出す。
 そして二度見した。


 信じたくないことに


 ……トーマスと親子設定になっていた……しっかり見てなかった。なんてこった。
 ナップルは体に力が入らなくなり、がっくりと床に膝をついた。


「さっき見せてくれたときにさ、こういうことになってたからさ。さっそく活用してみたよ!」
 ナップルの瞳がメラメラと怒りに燃えた。
 誰だ誰だ誰だこんな設定したの!! ヨネ? スポット? 絶対遊び半分だよこれ!帰ったらただじゃおかないから!
 あーなんかイライラする! というかいつまで待たせるのよ、患者死んでも知らないから!!
 さっさと戻ってこい乗務員めー!!

 恨みつらみが少女の胸でこだまする。



「またご機嫌わるくなっちゃったかな? 俺の娘ってやつさ、結構使えると思うんだよ☆ こんなステキパパ欲しいと思わない?」
「死んでもいらねぇ」
「女の子がそんな言葉遣いイケナイなあ。ご両親に教わらなかったのかい?」
「そんなもんいないわよ!」

 本当に知っててこいつはいちいち余計なことを言うのだ。ナップルに親は存在しない。そういう観念がもともとない種族出身なのだ。
「あーもう、なんかムカツク。いつまで待たせるのよ。あの乗務員。ドア叩き破っていいかしら」
「やめときなよ。もう帰ってくるよ。でも心配しないで。君がライサ出身の極めて優秀な医師だってわかれば、おのお姉さんの態度もかわるよ」
「え」
「その確認に行ってるんだよ、あのお姉さん。IDカードなんていくらでも偽造できるしさ。患者さんが重要な立場の人だったら医者の振りして殺しにくる奴が出てもおかしくない」


 もっともだ。その可能性は否定できない。



 先ほどここにくるまでトーマスがブツクサ呟いていたのは本部への連絡だったか。たかが1人の出自を操作するなぞ「時空警察」ならば造作もないことだ。
「大丈夫。本部は本当、君を最高の医術者にしているはずだよ」
 と、トーマスがウインクした。
 いちいちうっとうしい奴めっとナップルがなじる。
「だって君は本当に最高の医者だから……ってほーら、戻ってきたよー」

 広くもない廊下を先ほどの乗務員が走ってきた。後ろにもう1人、上司らしき男もくっついてきている。
「お、お待たせして申し訳ありませんドクター。セキュリティが厳しくて、特別室の扉はわたくしだけでは開くことができませんもので」
 ナップルの敬称がドクターに変わっている。なんとなく乗務員の目つきがさっきと違う。尊敬の念がこめられているような……


「わたくし、コンパートメント担当チーフのカトウと申します。こちらのお客様が急に胸が苦しいと」
 話しながらカトウと名乗った男は、扉横の鏡のような小さな四角形を指先で何度かたたいた。セキュリティーコードを入力すると同時に指先血管網による個人識別によるチェックをうけているのだろう。
「……おっしゃられまして、わたくしすぐに駆けつけたのでございますがとても手に負える状況ではなく。コバ様、入ります。お医者様です」

 扉が開き、そこには。

 部屋の真ん中で倒れている太った男。うつ伏せだ。
 ナップルは小さなポシェットから救急キットを取り出し、無言で男の元へ向かう。トーマスも珍しくだまって男のわきに膝をつき、呼吸と脈を調べる。
「死んでるっぽい」
 ナップルの言葉にカトウと女性乗務員の顔色が変わる。

 ナップルはキットから手のひら大の機械を引っ張り出し、トーマスに投げる。トーマスは箱型のそれを操作しつつ、男の全身をスキャニングした。
「肝臓とすい臓やられてるな。心停止後3分経過」
「タイロロニジン3mg投与。頚動脈から」
「了解」
 トーマスがナップルが投げ寄越した無針注射器を首筋に当て、ボタンを押す。ビクリと男の体が反応する。
 一方ナップルは自分の手のひらにシールのようなものをはりつけ、あおむけにひっくり返した男の胸中央にあてる。
「3,2,1」
 そのまま全体重をかけて押す。男がまたビクリと動く。


 次の瞬間から胸が上下しはじめる。呼吸が戻ったのだ。
「マラサイニコラムルを25,7mg。200倍希釈」
 トーマスがまた無針注射器を操作した。

「カトウさん、そこの枕とってちょうだい。3つでいいわ」
 カトウが手渡した枕を、ナップルたちは首・腰・膝下に押し込んだ。
「もうちょっとしたら気づくわ。脳に障害は残らない。身体にもね。ただ、この人えらく肝臓やられてた。心臓と末梢血管の梗塞もひどいわね。肝臓は治しておいたけど。この人大酒飲みか何か? 習慣性を伴うクスリはやっていないようね」


 ヒドクヤラレテイイタ肝臓ヲ治シテオイタケド。


 ありえないことを平然とナップルは言い放った。
「以前の梗塞後が相当。あちこちの血管がガタついているし、本当に危ないわ。箇所が多いから一度に治せない。主要血管だけなんとかしておくけれど、あとはちゃんと病院にいって治してもらうしかないわね」


 先ほどトーマスに投げ渡した小型の機械、それの色違いを救急キットからとりだし男の上にかざす。
 肉眼ではみえない光が照射され、血管壁にこびりついた脂肪など血栓のもとを分解、また硬化の進む動脈そのものは、まるで新品に取り替えたかのように若返らせていく。この時代・この地域ではありえない治療技術であるが構わない。



           この男を死なせてはならない。



ナップル・トーマスの二人は本能でそう感じていた。
その『本能』こそが調査団として最も必要とされる能力なのだ。


 カトウと客室乗務員はただただ、見守るばかりであった。




さ~て来週(今週だが)の調査団は

「死なせてはならない男」の正体とは……??

の1本でお送りします。 ンガッンッグ




「時空警察調査団」 第4回につづく


よろしければ応援クリックお願いします

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
にほんブログ村


スポンサーサイト
テーマ : オリジナル小説(SF)
ジャンル : 小説・文学

Tag:ノベル  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

sugar

Author:sugar
sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
FC2カウンター
QRコード
QRコード
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。