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時空警察調査団 第2話(修正版)

<前回のあらすじ>


時空警察内、調査団に所属するトーマス(仮名)とナップル(仮名)。
お仕事のために通常空間の某所に出現中。
ただいまシャトルに乗って出発待ちです。


第2回


あらゆる時と空間を司る、絶対者。
時空警察。

永遠の時の中で彼らは今日も世界の安定のために駆け続ける。
彼らにとって大切なもののために、いつまでも。



「俺としてはさあ、この子がちょっとお気になんだよね。頑張ってるんだけどどこどうしたら裏ルートへのフラグが立つのか非常に悩みどころ。
この青い髪がまた魅力的なんだよね、うん」
 シャトルが宇宙空間滑り出してもトーマスは相も変わらず携帯ゲームに釘付けだ。ナップルはちまちまと小さな端末に向かっている青年を呆れてみている。

 時空警察調査団には各チームの機動隊並みの自由裁量を与えられているのだが、こういった移動中の制限はつけてもいいとナップルは思う。
 ああいや、違うな。


 他の隊員で、こんな無軌道で無鉄砲で無規律でアバウトなヤツなどいるものか。



 だからトーマスに限って!! こいつに限っては心から規制を! 縛りを!!
 
 でないと仕事がしにくいのだ全くもう。

 ナップルは頭を抱えた。



「うっさい、黙れ。いちいち喋らないとゲーム一つもできないのか、このバカ」
「うーん。ナップルちゃんのいちいちつっかかってくるツンなところってさ、このゲームに出てくる金髪の女の子みたいだね。それはそれで魅力的。ほら、この子」
「ツ、ツン…??」

 相手にするのはやめよう。心からやめよう。
 こいつとは仕事だけのつきあいなのだから、それだけにしようそうしよう。
 ナップルは拳を握ってひとり頷いた。



 どれくらい時間がたったことだろう。目的地であるタラス星への道のりはまだ半分。
 あと2時間は有にかかる地点で


 トーマスとナップルの二人は同時に2,3度瞬きをして顔を上げ、正面を見据えた。




 前方の扉が開き、客室乗務員が青白い顔をして入室してきた。
「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」
「お客様の中にお医者様または医療に携わっておられる方はいらっしゃらないでしょうか」
 客室が一瞬ざわめく。

 シャトルの乗客はおよそ100名。大半がエコノミーで下層階の席についている。
 特に異変はなかったので、医者が必要なのはおそらく上層階のコンパートメントの客か……乗務員と考えられる。パイロットだったら乗客にとってかなり残念な状況に陥る可能性がある。

 エコノミーの客室で名乗りだす者はいなかった。
 幸か不幸か、この程度の距離を行き来するシャトルだと乗船の際に職業を名乗る必要がないのだ。 ならば名乗らずそっと雲行きを見守るのが賢いやり方だ。
 患者がコンパートメントの金持ち連中やパイロットであったりしたら、万が一の際に責任をふっかけられる恐れがある。善意などは隠し持っていた方が幸いな場合のほうが多いものだ。


 非情であるようにみえるが、この「世界」ではこれが正しい方法なのである。

 しかしだ。
「はいっ!」
 大きく手を上げて立ち上がり、名乗り出たものがたった1人いた。

 トーマスである。

 ええええええええっと隣でナップルは目で叫んだ。何を言い出すのだこいつ!
「お客様! お医者様でいらっしゃいますか!」
 客室乗務員がかけよってくる。もちろん女だ。だからか? だから名乗ったのかこいつ!
「はい! 僕ではなくて娘ですが、彼女は医学を一通り修めております」
「はぁ?」
「お、お嬢様がですか」
「ちょっと待て」
 ナップルの制止は右から左へ、トーマスは胸を張って本っ当、自信満々に言い放った。

「ご心配はもっともです。
彼女は非常に若く、いや幼く見えてさぞご不安でしょう。わかります。
しかし彼女は7歳にしてライサの中央大学に入学し、10歳で一通りの医療技術と知識を身につけ、12歳の今日こう見えて早くも一流の医者として頭角を現しております。それはもうメキメキ、バキバキ、メラメラと」
「ちょっと待てってば」
「何でしたらライサにお問い合わせいただいても構いません」
 目をキラッキラッさせながら自身たっぷりに語るトーマス。安堵の顔をみせる乗務員。

 ……呆然とするナップル。
「急病人ですか?」
 彼女をほったらかし、トーマスと乗務員の間で話は進んでゆく。
「ええ、そうなんです!」
「娘よ、医師として苦しむ人を救ってあげるのです。さあ! 今すぐ! 父さんはお前を心から誇りに思う!」
 いつから……いつから私はあんたの娘になったんだ……。
 ナップルは目の前が真っ暗になった気がした。
 狭いキャビンでこれだけ大声で語られてしまったからには、ナップルとしても出て行かざるを得ない。医学を修めているのは本当なのだから。

 ていうか! っていうか!!
 トーマスお前もだろう!!
「ぐげぇっ」
 ナップルは座席を離れる際に、さりげなくトーマスの足を思い切り踏んづけた。
 なにやら鈍い音がしたような気がするが

 無視を決めた。

 厄介事はくるくると、彼と彼女の周りを愉快にめぐり続ける。
 ニヤリと底意地悪い笑顔を見せながら。

 いつものように。


 「時空警察調査団」 第3回につづく



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sugar(佐藤)です。最近お絵かきに目覚めました字書きです。ピクシブ始めました。http://pixiv.me/khronos442_satoh

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